

Rd6 鈴鹿サーキット
赤旗中断とラスト2周のセーフティカーランでも集中力を切らさず
神谷裕幸がポール・トゥ・ウィンを決める
鈴鹿サーキット 5.807km×8周
予選 9月3日(土)天候:曇り一時雨 路面:ドライ/ウェット
決勝 9月4日(日)天候:晴れ 路面:ドライ

新型コロナウイルス感染予防対策のため、まん延防止措置/緊急事態宣言時の観客のパドック内への入場を制限していた鈴鹿サーキットだったが、Yaris Cup西日本シリーズの第6戦では観戦目的のパドック内入場が可能となり、各チームの応援でピット周辺はにぎわっていた。GRガレージ ミッドレス豊田がメンテナンスするYarisは12台という大所帯。さらに、チームミッドレスの選手の応援に駆け付けた家族や友人たちで、割り当てられたピットは活気にあふれていた。
チームミッドレスの#38神谷裕幸は、今シーズン優勝1回、2位2回、3位1回と全戦で表彰台に上がり、チャンピオンに一番近い位置につけている。#138内藤章太も前戦の第5戦オートポリスで10位入賞と好調で、ホームコースである鈴鹿で連続入賞を狙う。
第6戦のエントリー台数は62台。第2戦の70台よりは少ないが、それでも決勝に進めるのは上位48台と厳しい闘いだ。しかも、台風11号の影響による天候の急変が予想され、予選、決勝中に路面状況が変わることも考えなくてはならない状況だった。

台風の影響で路面が急変した予選
土曜日に行われた予選は、A組に#138内藤、B組に#38神谷と振り分けられた。12時10分から20分間のA組予選が始まるが、すでに西の空が暗くなりはじめ、雨雲レーダーにもそれは映っていた。しかし、路面はまだドライ。雨が降ることを予想して、少しでも早くアタックできるよう各車、先を争うようにピットレーンに並んだ。
A組の予選がスタートし、#138内藤はコースインすると前車との間隔を取ってスリップストリームが有効に働くように調整してアタック開始。快調に走行するも、コース後半で遅い前車に詰まりながらシケインまで戻ってきた。ところが、ポツリポツリと落ちてきた雨がいきなり強くなり、ホームストレートを通過する頃には路面が瞬く間にウェットに。1周してピットインし状況が好転するのを待ったが、それはかなわず計測1周目に記録した2分48秒871がそのまま予選タイムになり、A組の12位となった。
その後、雨が上がり太陽が出てきたため、予選A組終了の15分後にスタートしたB組はウェット路面がどんどん乾き始めた。あとになるほど路面が良くなりそうだが、気まぐれな天候はいつ雨になるかわからない。タイミングを見計らって#38神谷がコースインすると、実力ある選手のスリップストリームをいただこうと、12台ものマシンが後ろについてきた。その様子はさながら“神谷ドライビングスクール”。その状態で#38神谷は2分45秒971のタイムをマークしたが、案の定、後ろにつけていた選手に0.014秒差でトップを奪われてしまった。
しかし、そのまま引き下がる#38神谷ではない。ピットインしてチャンスをうかがうと、残り時間9分30秒で再びコースイン。速いマシンの後ろにつけると巧みにスリップストリームを利用し、バックストレートの最高速は168.92km/hと単独走行時よりも4km/h以上速くなった。渾身のアタックでA組・B組を通してトップタイムの2分45秒885をマークし、鮮やかに逆転ポールポジションを獲得した。#138内藤は、24番グリッドからの決勝スタートだ。

#38 神谷裕幸のコメント

#138 内藤章太のコメント

赤旗中断の20分間も集中力を切らさず
レース巧者、神谷ならではの鮮やかな勝利
レース巧者、神谷ならではの鮮やかな勝利
日曜日の決勝レースは天候が回復し完全なドライに。8周のレースで、ポールポジションの#38神谷は反応よくスタート。しかし、2番グリッドのマシンが直線で伸び、イン側に並びかけてきた。#38神谷はその動きをけん制しながら1コーナーに突入し、かろうじてトップを守ってS字コーナーを駆け上がっていった。いっぽう、#138内藤の直前を走っていた中団グループがS字に差し掛かった時、4台のマシンが絡む多重クラッシュが発生。1台が横転してコースをふさいだため、赤旗が出されレースは中断。全車、スターティンググリッドに戻ってクラッシュ車両の撤去を待った。
およそ20分間の待機後、セーフティカースタートによりレースは残り5周で再開された。ローリングスタートの際、シケインの立ち上がりからトップの#38神谷の後ろにピタリとついてスリップストリームを使った2番手のマシンの伸びが良く、1コーナーの進入でインに入られた。そのまま2台並走状態で2コーナーを立ち上がると、S字に入るところで#38神谷は2番手に後退。その後、2台の白熱したバトルに3番手のマシンも追い付き、先頭グループは3台となった。
ところが先頭が5周目に入ると、今度はシケインで2台が接触し、1台がコースサイドにストップ。トップ争いの3台がスプーンカーブ手前の200Rに差し掛かったところで、セーフティカー導入となった。残り周回数2周で2度目のセーフティカースタートでレース再開。2番手の#38神谷は1コーナーのアウト側から仕掛けるがトップもブロックラインで譲らない。その後も白熱した攻防戦が続いた。そして、130Rを速いスピードで抜けた#38神谷が、シケイン入り口のアウト側から仕掛け、トップ争いの2台が並んだままシケインに入った。シケイン2個目でインを獲った#38神谷が鮮やかにトップを奪還し、最終ラップに突入。巧みなラインで追いすがる後続の2台を抑えて波乱の第6戦を制した。#138内藤は、混乱の中団グループを生き残り、4ポジションアップの20位でゴールした。
第6戦終了時点で、5戦中2勝&全戦表彰台の#38神谷は84ポイントでシリーズトップを維持。2位は56ポイントとその差をさらに広げ、より確実にチャンピオンに近づいた。


神谷裕幸のコメント

内藤章太のコメント

